予防歯科処理

予防歯科処置

最近、もよく耳にする「歯の予防」ですが、この考え方が歯科の世界に普及してきたのはそんな昔のことではありません。

では「歯の予防」って何?と尋ねられれば、一口で言えば「プラークコントロール」です。
「むし歯や歯周病などあらゆる 口腔疾患に最も有効なのは、プラークコントロール(歯垢除去)である」と証明されています。
また、プラークコントロールは「歯の健康を保つ」ための唯一の方法であるだけでなく、治療して再び取り戻した「治療後の歯の健康を保つ」方法でもあるのです。

つまり、一度完全に治療しても、定期健診を続けて再発や新たな病気を予防しなければ、本当の治療と言えません。当院では患者さんにその重要性を理解していただき、QOL(Quality of Life 生活の質)の向上に役立てていただくことも、歯科医院の大切な役割と考えております。

プラークコントロールのプロ「歯科衛生士」

プラークコントロールには各自でやっていいただく「ホームケア」と歯科医院で行なう「プロフェッショナルケア」があります。

プラークコントロールに重要な役割を果たすのが歯科衛生士です。歯科衛生士は数年の専門教育を受けて国家試験で認定されたプラークコントロールのプロです。その役割は患者さんの口腔ケアを責任を持って指導する、歯周治療と予防のエキスパートである言えます。
一人一人お口の状態は様々ですので、個々に応じてケアやクリーニングの方法、通う頻度も異なり、疾患のある人には専用のプログラムが組まれます。

特に、一度病気にかかったり、歯並びが悪かったりして、プラークコントロールの難しい部分には歯ブラシだけでは不十分です。そのような所には歯間ブラシまたはデンタルフロス(糸ようじ)、タフトブラシ(非常に小さな歯ブラシ)などが適しています。しかし、どれが適しているかは患者さん自身ではなかなか判断が難しいでしょう。

このような道具の選び方から使い方まで歯科衛生士がきめ細かく指導を行います。患者さん自身に行っていただく歯磨きはもちろん必要ですが、回数が多いからといって必ずしもきれいに磨けているとは限りません。ご自分のホームケアを時々プロの目で診てもらうことも大切です。「定期健診でチェックアップに通う人に比べて、通わない人が疾患にかかる確率は約6倍」と言われています。

ホームケアにおける効果的な歯磨きとは

それでは、どのように歯磨きを行ったらいいのでしょうか?歯磨きにはいくつかポイントがあります。

プラークが残りやすい所を重点的に磨く

プラークが残りやすい場所は、
①奥歯の咬む面の溝(咬合面)、②歯と歯肉の境目(歯頚部)、③歯と歯の間(歯間部)です。

それぞれに適した道具を選ぶ

おおまかに言って、歯ブラシは咬合面や歯頚部、フロスや歯間ブラシは歯間部を磨くのに適しています。
歯並びが悪かったり、歯肉が大きく下がったりして磨きにくい場合にはタフトブラシ(小さな歯ブラシ)を使う場合もあります。

歯ブラシは出来るだけ小さなもので、出来るだけ力を抜いて磨く

柔らかい歯ブラシでできるだけ軽圧で磨けば、歯や歯肉を痛めることは少なくなります。
特に、重度の歯周病の場合には、腫れている歯肉に歯ブラシが触れただけでも痛い場合がありますので注意が必要です。

上から、普通の大人用(青)、子供用(緑、当院ではほとんどの大人の方に勧めています)、タフト(赤)、 ウルトラソフト(白)

歯ブラシで少しずつ(できれば一本ずつ)磨く

歯ブラシは大きく動かすと、凹んだ細かい部分には入ってくれません。
歯の幅は概ね10mm前後ですので、だいたい歯一本分のストロークで磨くとより細かい部分まで届きます。
横磨きだけでなく縦磨きを組み合わせるとより効果的です。

歯間ブラシやフロスを使う

歯間部は歯ブラシだけで磨くのは困難です。歯周病は歯間部から始まることが多いので、これらが特に効果的です。
フロスは歯と歯の接している所(コンタクト)を磨くのに適していますので、むし歯や初期の歯周病の予防に適しています。

歯間ブラシは、ある程度大きな歯間部を磨くのに適していますので、歯周病治療や予防に効果的です。

PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning、プロフェッショナルケア)とは

歯の形は非常に複雑で、ご自身では見えない、そして歯ブラシなどが届かない部分がたくさんあります。
どんなにブラッシングが上手な人でさえ、磨けない部分があり、我々プロでさえ、自分で自分の口のブラッシングは完璧には行えません。そうした部分はプロに任せることも必要です。

PMTCとは「プロによる歯のクリーニング」と言えます。
長い間磨けずにたまってしまった細菌たちはバイオフィルムを形成し、古いプラーク(歯垢)の熟成が進んでいくと病原性が強くなっていきます。
PMTCではこれを専用のブラシやゴムのチップ、ペーストなどを使って丁寧に取り除いていきます。そして最後に予防のためのペーストを塗りこみます。

PMTCを行う時期

  1. すべての治療が終わって定期健診に入る直前
  2. 定期健診でチェックした時

PMTCの効果

  1. 歯の強化 フッ素入りペーストにより歯の再石灰化を促進して歯を強化します。
  2. むし歯の予防 細菌性バイオフィルムを破壊し、プラークを除去して再付着を防ぎ、むし歯や歯周病を予防します。
  3. 審美性の向上 タバコのヤニや茶渋など、歯に付いた色素を取り除き、光沢のある本来の歯面に回復します。ホワイトニングの前処置としても行います。

PMTCの実際

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