歯の保存治療
ここでは、いろいろな歯の保存治療について、具体的な治療例でご紹介します。
多数歯の虫歯(60代 男性)
シェーグレン症候群という唾液の少なくなる病気のため口腔内が乾燥しやすいため、虫歯や歯周病に罹りやすくなっていました。
上段は初診時、多くの歯が大きく虫歯になって根だけになってしまい、奥歯ではかめない状態でした。
○はすでに神経がなかったり、神経が化膿していたため、根の治療を行た歯です。このように根だけになってしまっても、適切な治療ができれば抜歯しないで済みます。神経の治療の後は金属などの冠でかぶせました。 ◎は虫歯の処置を行った歯です。 ×は残念ながら抜歯になってしまった歯です。この状態でもわずか2本で済みました。
中段は治療途中で、神経の治療などが終わってプラスチック製の仮歯で咬みあわせを作ったところです。
下段は治療が終了して定期健診に入った時のものです。右下は写真にはありませんが、入れ歯を作製しました。治療が進むに従って歯周病の状態が改善して歯肉が引き締まり、白っぽい部分と赤い部分の差が明瞭になっている点に注目してください。
神経の治療1(50代 女性)
ここまで虫歯が広がってしまった場合や、歯を削ったりぶつけてしまった場合には、神経が化膿してしまい、左の写真のように根の先の骨の中にまで化膿が進み、膿の袋を作ってしまいます。このような場合、通常は歯に穴を開けて根管治療(神経の治療)を行います。
根管治療は針状のファイルを使って神経の入っていた細い根管を削ってきれいにしていきます。
多くの場合は根管治療によって膿の袋を小さくでき、時間はかかりますが骨も回復できます。
(右の写真、この症例では約1年半かかりました。)
術前
終了時
神経の治療2 外科的保存法(50代 女性)
あってはならないことですが、根管治療(神経の治療)の道具である針状のファイルが、歯の中で折れてしまうことがあります(矢印)。
このような場合や、通常の根管治療で治らない場合には、外科的に治療する場合があります。
外科的治療法には、歯肉をはがしてお口の中で行う場合と、この症例のように、いったん歯を抜いてお口の外で治療して歯を元に戻す場合があります。
初診時
手術時
1年後
歯の破折(60代 男性)
咬む力によって割れてしまった歯です(矢印)。通常では抜歯するしかありませんが、比較的すぐに発見できて、状態が良ければいったん抜いてお口の外でセメントでつなぎ合わせて元通りにして抜いた所へ戻します。
成功した場合、ある程度の期間はこの歯を抜かずに機能させることができます。
抜歯前
破折片
修復時
3年後